眼鏡業界の5フォース分析

眼鏡業界はメガネの価格が安くなったため、年々市場規模が小さくなっています。

ただ、高齢化により購入単価は持ち直しつつあり、今後は市場規模が回復する見込みはあります。

今回は、眼鏡業界における5フォースを考察してみました。

目次

眼鏡業界の5フォース

マイケル・ポーターの「5フォース分析」は、業界の競争状況を理解するためのフレームワークです。

眼鏡業界における5フォースを考察していきます。

  • 業界の競争者の脅威(業界内の競争)
  • 新規参入者の脅威
  • 代替品の脅威
  • 取引先の交渉力
  • 顧客の交渉力

①業界の競争者の脅威(業界内の競争)

眼鏡業界の「業界の競争者の脅威」について解説します。

多様な競争者

眼鏡業界にはさまざまな業態が存在します。

格安店から専門店まで価格帯や取り扱い商品もさまざまです。専門的な知識や技術を持つ眼鏡店など、様々な形態のショップがあります。

メガネメーカーが直営店を出していたり、JINSやZoffなどの格安店があります。

大手チェーン店はプライベートブランドを販売し、製造も自分たちでおこなっているため、福井の眼鏡メーカーは今後どんどん仕事がなくなっていくと考えられます。

市場の飽和

とくに都心部では、メガネの需要と供給が飽和状態に近づいています。これにより、新しい顧客を獲得するための競争が激化しています。

個人経営のショップはとくに厳しい状況に置かれていて、何か独自性を打ち出さないとお客さんを呼び込めず、廃業していくしかありません。

実際、毎年300店ものメガネ屋さんが減少しています。

技術の進化と競争

眼鏡の製造技術や素材技術は進化を続けており、新しい技術を取り入れた製品が市場に登場することで、競争が激化しています。

現在はコストがかかりすぎて実用化できていない、3Dプリンターによるメガネ製造は今後主流になる可能性があります。

価格競争

眼鏡業界では価格競争が激化しています。特に、低価格帯の製品においては、薄利多売の戦略が取られることが多いです。

ほとんどのお客さんは安ければなんでもいいと考えているので、価格崩壊に歯止めがかかりません。

メガネとレンズの原価は安いので、アルバイトを雇って人件費をおさえ、視力検査に時間をかけずにメガネを販売すれば、安く販売することは可能です。

②新規参入者の脅威

眼鏡業界における「新規参入者の脅威」について解説します。

低いエントリーバリア

眼鏡ブランドは国内だけでも何百もあります。市場規模からすると異常な多さです。

国内生産であれば小ロットで製造できること、安い広告費でメガネ専門雑誌に取り上げてもらえることが原因で、たくさんの眼鏡ブランドが溢れています。

メガネブランドの新規参入のハードルはかなり低いといえます。

メガネ小売店に関しても、ほとんどのお客さんは「視力矯正」を重要視していないため、ラーメン屋を運営している会社がメガネ店を新規オープンして、繁盛していることもあります。

海外の小売店の参入

メガネを1200円で購入できるブリレンという海外のメガネ店が日本に参入してきました。

レンズは30年前のスペックですが、お客さんは安いものに飛びついています。

眼鏡業界には安売りの新規参入者の脅威が存在し、既存のメガネ店は専門店の価値をお客さんに理解してもらうよう対策が必要です。

③代替品の脅威

眼鏡業界における「代替品の脅威」について解説します。

コンタクトレンズ

コンタクトレンズは、視力補正のためのメガネの代替品として広く認識されています。とくに若い女性はメガネよりもコンタクトレンズを選ぶケースが多くなっています。

また、スポーツなどメガネ着用がむずかしいシーンでもコンタクトは人気です。

使い捨てなど、さまざまなタイプのコンタクトレンズがあり、消費者のライフスタイルやニーズに合わせた選択が可能です。

レーシック手術

レーシック手術は視力を良くする方法として人気があります。成功率が高く、手術後はメガネやコンタクトレンズの必要がなくなります。

ただ、リスクもあるので、そこまで普及はしていません。

オートフォーカスのメガネ

オートフォーカスのメガネは自動でピントが合います。複数のメガネを使い分ける必要がなく、視力が変化しても対応できます。

今の技術では完璧な製品ではありません。「視野が狭い」「見た目がダサい」「価格が高い」という問題がありますが、将来的には実用レベルにまで進化する可能性があり、この製品が普及すると、従来のメガネの需要は減ると思います。

オンライン視力検査

オンデーズではオンラインで視力検査をおこなっています。

オンライン技術の進化により、メガネ屋のスタッフの仕事がなくなる可能性があります。

④取引先の交渉力

眼鏡業界における「取引先の交渉力」について解説します。

製造工場の力

プラスチックのメガネを製造できる工場は少なくなっています。とくに高品質なプラスチック製メガネを製造できる業者が限られているので、その供給業者は高い交渉力を持つ可能性があります。

現在、大手チェーン店による国内工場の囲い込みが進んでいます。プラスチック製造工場も数社のブランドとしか契約しない、というケースもあり、交渉力が強くなっています。

ブランドの力

レイバンなどの人気ブランドは、そのブランド名だけで高い価値を持つため、取引先に対して強い交渉力を持つことができます。

価格を高くしても小売店は取り扱わざるを得ない状況になっています。

売れる商品は直営店に回して、取引先の小売店には人気商品を出さないという選択も可能です。

流通ネットワークの力

大手メガネチェーン店は、大量の注文や継続的な取引をおこなうため、製造業者や供給業者に対して強い交渉力を持つことができます。

一方、小規模な店舗は大手チェーン店が500円で仕入れているものを1500円で購入しているようなケースも多々あります。

技術の独占や特許

特定の技術や素材、製造方法を独占している企業や、特許を持っている企業は、その技術や特許を必要とする取引先に対して高い交渉力を持つことができます。

メガネのデザイン会社はたくさんの特許を持っており、メガネ1本につき何円という形で特許使用権を得ています。

取引業者との関係

特定の1社との取引が売り上げのほとんどを占めるような会社がたくさんあります。

買う側は商品が供給されないリスクがあり、売る側は買う側の言いなりになるしかなく、買いたたかれてしまいます。

長期的な関係の構築

大手チェーン店の場合、口座を持つのがむずかしく、新規ブランドなどは門前払いとなります。

その点、昔から業界にいるメーカーは大手チェーン店と信頼関係があるので、継続的な長期的な取引ができると思います。

⑤顧客の交渉力

眼鏡業界における「顧客の交渉力」について解説します。

価格の比較しやすさ

メガネ屋さんの価格はわかりにくくなっています。

最近は、価格をわかりやすく表示するメガネ屋さんが増え、消費者は以前よりはかんたんにショップ同士を比較できるようになりました。

これにより、消費者はより有利な条件での購入を求めることができるようになり、顧客の交渉力が強くなっているといえます。

代替品の存在

コンタクトレンズやレーシック手術など、メガネの代替品が存在することで、消費者はメガネ以外の選択肢を持っています

これにより、メガネ店に対する交渉力が強まる可能性があります。

快適な見え方への期待

メガネのフィット感・丁寧な視力測定など、快適な見え方を求める消費者が増えてきています。

これらの要望を満たすことができるメガネ店に対しては、消費者の交渉力が相対的に低くなる可能性があります。

実際、視力測定を有料にしているショップもあります。

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